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インプラント(IMPLANT)あれこれ

例えば、野生のライオンが歯を失うことは死を意味します。人間は歯を失っても食物を調理し時には流動食化して、生きるためのエネルギーを得ることができます。

失った歯の代わりには、義歯で代用できます。

義歯と言っても色々な種類方法があり、その中でも今流行っているのがインプラントです。 つまり歯肉に穴を開け、更に顎の骨に穴を開けチタンを主とする金属の柱をネジ込み、歯肉より上の部分に歯様の物を取り付け機能させようとするものです。

免疫系の全体像

さて、移植医療と言われる臓器移植は、医学の発達した現代では何所でも、誰でも受けられる簡単な処置でしょうか?

免疫改めて言うまでもなく、人の体は細菌を始めとする「異物」が侵入すると、それらを「非自己」と認識し、排除しようと激しく攻撃を開始し、固体は非自己の侵害に対し驚くほど神経質な行動を示します。
免疫反応と一括される反応にはさまざまなタイプがありますが、何れも極めて鋭敏で不寛容です。移植はこの不寛容な免疫系を強力に押さえつけ、無防備な状態にまでたたいた上でなければ成立しません。



移植された臓器だけには寛容(免疫系が攻撃を止める)となり、他の侵入異物に対する反応は通常(免疫系が異物排除に働く)という方法はまだ発見されていませんし、移植免疫学はまだ充分進歩しているとは言い難いのです。したがって、医療としての移植はいまだ完成には至っていないと言われています。

上の写真は一度に14本分が一塊として抜け落ち、患者さんが持参したもの。
現在、下顎は総義歯となっています。

インプラントの病理

インプラントは歯を失った口内の機能を回復する方法の一つかもしれませんが、病理学的にみれば病気の範疇に入ります。原因はインプラント体であり、それが生体内に植立されることで歯肉や骨との間に界面 (境い目)がつくられ病気の経過が始まります。

「インプラント周囲の歯肉がきれいである」「動揺がない」「レントゲン的に骨の吸収がない」などは、病態としては慢性経過の一時点であり、インプラントの転帰は良ければ慢性化の持続であり、感染すれば脱落へとつながります。

なぜならインプラントと組織との界面(境い目)はなくなることがないので、組織の連続性が回復することは有り得ないからです。


ただし、図2の天然の歯のように、生物学的接着が成し遂げられれば違った展望が開けるかもしれません。

インプラント植立の経験

写真1 は当院で実施した、ITIというインプラントです。
15年以上の経過ですがT字様の体部には骨の吸収がみられます。
現在は機能していません。



写真2.3 は他院で埋込し、おそらく30年以上経過したと思われます。上の顎に入っていたブレ―ドタイプ(金属の板)インプラントの一部です。膿が出て、動揺、口臭のため、麻酔下で撤去しました。




写真4.5 は当院で埋込してから20年以上経過し、天命を全うした症例です。




インプラントを植立する場所の問題

私が知る限り、約30年前頃に京都セラミックから発売された人工合成セラミックスのバイオセラムが、日本におけるインプラントの走りと思われます。

どんな種類のインプラントでも、それを植立するには骨の厚みと幅が必要で、もし不足の場合は手術により自家移植、骨補填剤などで骨量を得ている様です。
下の顎には左右から神経・動脈静脈が走り、また顎の骨を外れドリルを操作すれば、舌の周辺の血管に到達し大出血の恐れがあります。
上の顎には上顎洞という空洞(膿がたまると蓄膿症となる部位)があり、大にしてその洞低に相当する部位にインプラントをする必要が生じる場合が多く、骨の厚みが少ない場合は洞低を持ち上げ骨量を確保して植立する様です。

外界と交通している骨は存在しないし常に無菌の状態です、骨量を増やす手術法は確立されたとしてもそれを実施する場所が通常の歯科医院内であれば、無菌操作が危ぶまれますしそれ程までしてインプラントを実施する必要があるのでしょうか?
また、事故を除き、歯の喪失は生活習慣病に属するものであり、徹底した口内清掃を必要とするインプラントのために三ヶ月や半年間の指導教育で習慣を変えられるものでしょうか?

インプラントは夢の人工歯根?


天然歯の解剖図

天然歯の解剖図


インプラント体と歯肉との境には天然歯のような接合接着様式(上皮性付着)
はありません。
上図で示した、生物学的接合は今だ出来ていないし今後も不可能と思われます。硬い組織(骨又は歯)が皮膚なり歯肉なりを突き破り表に顔を出しているのは、人では歯以外にはない(爪は皮膚の変化したもの)、この歯を取り巻く幅約2mmの歯と歯肉の接合は細菌の侵入を防ぐ働きもあり、人為的には創りだせない神様が歯に与えられた精巧な防御機構です。

インプラント体を植立するために歯肉や骨と云った組織の連続性を積極的に断裂させられたその部位は、細菌の侵入門戸を意味します。
また、天然歯には根と骨の間にスプリング(歯根膜)の役目をする装置や感覚を司る受容器がありますがインプラントにはありません。



  1. 骨とチタンが結合することは述べても、歯肉と金属の境目の問題(生物学的接合)が解決できない、この欠点に正直に言及している広告を見かけません。

  2. 骨の幅と厚みがあれば高度な技術など要しません。要は穴を開ける際に発熱しないようにドリルの回転数を下げ注水するだけです。注意を要するのは、上顎洞に穴を開けないこと、下顎の場合は骨の中を通っている動脈静脈と神経を傷つけないことです。

  3. 酒を飲んで寝込んでしまう人、タバコを吸う人、口内を徹底して清潔な状態に出来ない人にはインプラントは不向きで、歯磨き粉で普通に磨くだけでは直ぐに脱落します。

  4. インプラントが脱落した後は、顎の骨がガクンと無くなり、義歯を作るのが難儀になります。

  5. 歯を削ってブリッジを入れること、義歯を作ることは、インプラントより負の面が多いのでしょうか?

  6. インプラントで年商○○○円。成約率何パーセント。 これって医療の世界の言葉でしょうか?

  7. インプラントを勧められたら先ずは義歯を作ってみたら如何でしょうか? それでどうしても駄目なら考えてみたらどうでしょうか。

  8. チタン製インプラントって口に入って30年の歴史は無いのでは。一生機能しますか?

  9. インプラントは夢のような素晴しいことばかり話され過ぎませんか? 義歯にとって代わり得るものですか? 私は思いません。最後は義歯で対処せねばなりません、本音は歯科医側の経済的理由と違いますか?



以上 自分でインプラントを経験したり、見たり、聞いたりして、あまり触れられていないことを述べました。何かの参考にでもなればと思います。



参考文献
インプラント病理総論(日本歯科医師会雑誌)
免疫の意味論(多田富雄 著)
バイオセラム.サファイアインプラントの手引き
ぺリオのためのバイオロジー 山本浩正


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